事業の品質力・競争力を高める個人情報保護法


●個人情報保護法の順守

規程・教育・点検による法令順守

 個人情報を取り扱っている全ての事業者の義務である「個人情報保護法」を順守するために主要となる取り組みとして、次の三つは重要である。

(1)規定の策定

 個人情報保護法で求められている法的な義務に対して、自社でどのように取り組むか規定を策定することが重要

(2)従業者の教育

 個人情報を取り扱う全ての従業者が、策定した規定に基づき取り扱うことが出来るよう教育を実施することが重要

(3)点検の実施

 個人情報保護法の目的を達成するため、適切に個人情報を取り扱っていることを定期的に点検し、必要があれば是正することが重要

 

事業者の取り組みをサポート

 個人情報保護委員会の認定をうけた団体である当社団では、事業者が行うべき「規程の策定、従業者の教育、点検の実施」をサポートするサービスを提供している。

(1)規定の策定  → サンプル規程を提供

(2)従業者の教育 → eラーニング教材を提供

(3)点検の実施  → 外部点検サービスを提供

            第三者認証が必要な場合はCLIPマーク認証サービスを提供

 

●情報システムを利用した事業強化

クラウドサービスや情報システムの利用は必須

 事業の競争力を強化するために有効かつ強力な手段の一つとして、クラウドサービスを含めた情報システムの利用がある。従来より言い尽くされたことであるが、近年の事業を取り巻く環境変化やクラウドサービスの充実により、かつての事業環境では考えられないような高機能なものが、安価で、すぐに利用できるようになったことから、これらクラウドサービスや情報システムの利用のハードルが下がってきた。

 同業他社が、クラウドサービスや情報システムを利用することで事業品質、事業競争力を高めていくなか、自社の事業を強化するためにはこれらの利用が必須である。

 

クラウドサービスや情報システムの安全基盤

 事業強化のため、安全にクラウドサービスや情報システムを積極的に利用するためには、そこで取り扱うデータのプライバシーとセキュリティーを確保することが必要である。特に顧客や取引先の個人情報については、漏えい、滅失、毀損などによりプライバシーやセキュリティーが侵害された場合には、重大な自社責任が問われることになる。一方、プライバシーやセキュリティーを保護し、顧客や取引先の権利利益を確保するための取り組みは実施すればするほどコストが増加していくため、どの程度実施するべきかの経営判断は難しい。

 個人情報保護法は、すべての事業者が、個人情報の保護を通じて顧客や取引先の権利利益を確保するためには最低限何をするべきかの基準を示していることから、個人情報保護法を順守することがクラウドサービスや情報システムを安全に利用するための基盤と考えることができる。

 

●事業を取り巻く環境

2025年問題、2040年問題

 「団塊世代」が高齢化することで起きる2025年問題に続き、「団塊ジュニア世代」が高齢化することで2040年問題が予測されており、2040年以降は労働人口が激減して労働力不足が深刻になることから、行政機関においても業務の自働化が喫緊の課題となっている。日本の人口減少と少子高齢化が止まらぬなか、女性、シニアや外国人などの「潜在労働力」も十分に確保できるとは限らない。

 IT技術を活用して、データ、業務やビジネスモデルを変革し、業務自働化や、時間や場所を柔軟に選べる働き方の改革が求められている。

 

もう一つの2025年問題

 日本では、1980年代に多くの企業がコンピューターを用いた財務管理や会計処理、在庫管理、給与計算、伝票発行等に用いる基幹システムを導入したが、40年近くが過ぎた現在、それらのシステムは「レガシーシステム」として老朽化し、ブラックボックス化している。

 もう一つの2025年問題とは、この「レガシーシステム」の刷新が行われずこれらが残存した場合、2025年までに予想される IT人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴い、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失の可能性があることをいう。

 

シンギュラリティ

 生成AI (人工知能)などの登場により、実務利用可能な時期が近づいてきたことから、シンギュラリティーが現実味を帯びてきた。

 シンギュラリティーとは、アメリカの数学者ヴァーナー・ヴィジンが概念を提唱し、アメリカの哲学者レイ・カーツワイルが到来を予測した「技術的特異点」のこととされており、AI(人工知能)が自律的に自己改良を繰り返すことによって、全人類の知性を超える時点のこととされており、2045年に「技術的特異点」に到達し、それ以降は予測不可能な領域に突入するとされているが、近年では2029年には人知を超えるのではないかといわれている。

 

拡張知能

 技術の進展により、AIに代わって、人間の能力を補完し拡張する技術やシステムを表す「拡張知能(Extended Intelligence)」という表現が用いられるようになった。この概念により、現在AIは人間の代替ではなく、次のような機能により人間と協力して知識や能力を拡張する道具として位置づけられている。

 

・高度な分析:AIが膨大なデータの高速処理やパターン抽出など、人間の能力を超える情報分析や複雑な計算をすることで、人間の問題解決能力や意思決定をサポートする。

・生産性向上:AIがルーティンな作業など繰り返し作業や単純な業務を自動化することにより、人間の生産性向上をサポートする。

・知見獲得:AIが広範かつ膨大なデータから学習し、予測した結果を提供することで、人間が新しい洞察や知識を獲得することをサポートする。

・共同アプローチ:AIはデータに基づく洞察を提供することで共同して課題に取り組み、人間が包括的な解決策を導き出すことをサポートする。